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賃貸物件の老朽化に伴うリスクと対策
近年、地震や豪雨、台風といった異常気象が頻発しており、老朽化した建物が損壊するリスクが高まっています。特に、築年数の経過した賃貸物件は、思わぬ損害を引き起こす可能性があり、オーナーにとって深刻な問題となります。この記事では、老朽化によって生じる法的・構造的リスクや、具体的な判例、点検・保守の実践事例をもとに、賃貸物件のオーナーがとるべき適切な対策について詳しく解説します。

目次
老朽化した賃貸物件が抱えるリスクとは
築年数が経過するにつれて、建物の構造や設備は徐々に劣化し、安全性や居住性が低下していきます。特に賃貸物件では、長期にわたって複数の入居者が利用するため、見えない部分に劣化が蓄積しやすいという特徴があります。老朽化した建物は、次のようなリスクを抱えています。
- 大地震や強風による倒壊や部分損壊
- 配管の破損による漏水や漏電
- 鉄部の腐食による構造的弱化
- 入居者の怪我や死亡事故につながる恐れ
これらのリスクは、単なる経年劣化にとどまらず、オーナーに対して法的責任が問われる可能性もあります。
事例紹介
築45年のアパートとオーナーの懸念
実際の相談事例として、築45年の木造アパートを所有するオーナーからの相談があります。入居者から得られる賃料が低く、建物全体の補修に十分な資金をかけられない状況でした。近年の地震の頻発を踏まえ、大地震によって建物が倒壊し、入居者が負傷した場合の責任について心配していました。
このようなケースについて、弁護士の大橋良二氏(弁護士法人一新総合法律事務所)は、次のように回答しています。
「建物が必要な補修をされておらず、通常有すべき性能を欠いていた場合には、オーナーが民法717条に基づく工作物責任を問われる可能性があります。」
※ 民法717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。
ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。(以下略)
民法717条では、建物の設置や保存に瑕疵があり、それによって他人に損害が生じた場合、占有者または所有者が損害賠償責任を負うと定められています。オーナーが十分な注意義務を果たしていないと見なされれば、重い責任を負うことになります。
判例に学ぶ
老朽化に起因するオーナーの責任が実際に認められた裁判例として、1995年に発生した阪神・淡路大震災に関連する事案があります。
阪神・淡路大震災でのオーナー責任
神戸地方裁判所で争われたこの裁判では、賃貸マンションの1階部分が地震で倒壊し、4人の入居者が死亡しました。遺族は、賃貸人に対して工作物責任を根拠に損害賠償を請求。最終的には、建物が旧耐震基準で建てられていたことに加え、必要な補修がなされておらず、通常有すべき安全性を欠いていたことが認められました。
賠償請求額は3億円を超え、裁判所は地震という不可抗力を考慮しつつも、賃貸人に約1億3,000万円の賠償責任があると判断しました。このような判例は、老朽化した賃貸物件を適切に管理しなかった場合、重大な法的責任が発生する可能性があることを明確に示しています。
現場から見る老朽化の実状
老朽化に伴うリスクは、建物の外観からは見えない部分で進行していることがあります。フレンドホームの管理課では、定期的な巡回点検と入居者対応の一環として、建物の状態を細かくチェックしています。
点検で発見された危険な腐食
ある賃貸物件では、駐車場の舗装工事を行う際、通常の巡回では発見できなかった駐輪場のスチール支柱の腐食が見つかりました。腐食箇所は厚さ約3cmのアスファルトで覆われており、表面からは異常が確認できなかったのです。腐食が進行したまま放置していれば、強風や地震で駐輪場が倒壊し、入居者に被害を及ぼす可能性がありました。
この発見を受けて、駐輪場は解体され、新たに安全な設備を設置する計画が進められています。こうした点検によって事故を未然に防ぐことができた事例は、老朽化した賃貸物件の管理において定期的な点検がいかに重要かを物語っています。
老朽化対策としてオーナーが取るべき対応策
老朽化によるリスクを軽減するためには、オーナーが主体的に管理と対策を行う必要があります。以下のような対策が推奨されます。
1. 定期点検と早期対応
建物の外観だけでなく、配管・配線・基礎部分などの見えない部分も定期的にチェックし、劣化の兆候があれば早めに補修を行いましょう。
2. 資材・設備の更新
20年以上経過した設備や構造物は、外見に異常がなくても内部で腐食や劣化が進行している可能性があります。長期使用に耐える材質への交換や、全面改修も視野に入れるべきです。
3. 法令遵守と専門家の活用
民法717条をはじめとした関係法令を理解し、建築士や弁護士の助言を得ることで、万一の際にも法的トラブルを最小限に抑えることができます。
4. 保険の見直し
地震保険・火災保険などの加入状況を定期的に確認し、補償内容が現状の物件に見合っているかを見直しましょう。必要に応じて補償範囲の拡大も検討すべきです。
5. 長期修繕計画の策定
老朽化は避けられない現象であるため、あらかじめ10年~20年先を見据えた修繕・改修のスケジュールを組むことで、計画的にコストを分散しながら対応が可能になります。
賃貸物件の安全性維持がオーナーの信頼につながる
賃貸物件の老朽化は、放置すれば入居者の安全を脅かすだけでなく、オーナー自身の法的・金銭的負担を招く重大な問題です。日頃から建物の状態に注意を払い、定期点検・補修を怠らず、専門家と連携しながら適切な管理を行うことで、リスクを大幅に軽減できます。
また、こうした取り組みは入居者からの信頼にもつながり、空室率の低下や物件価値の維持にも寄与します。異常気象や地震などの自然災害が頻発する今こそ、賃貸物件オーナーは「老朽化」というキーワードに真正面から向き合い、安全・安心な住まいを提供する努力が求められています。
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